建築活動家 › 2020年07月17日

2020年07月17日

日本の伝統文化 木組みの技



現代の日本で木造住宅と言えば、「木造在来工法」か「2ⅹ4工法」を指します。
「在来工法」は戦後に普及した工法、「2x4工法」は西洋の工法からきています。
これとは別に、日本の古来からある「木造伝統構法」があります。
僕が、茅葺き民家の活動を通して知り合った松本さんは、
手刻みの仕事ができる大工さんで「伝統構法の技術」を活かして
現代の住宅にも柔軟に対応してくれる大工さんです。
知り合ってから長い年月が過ぎ、一緒に仕事をする第1号の住宅になりました。
当初、石場建て、貫の用いた建物で、限界耐力計算による構造計算を試みましたが断念し、
仕口や継手で構成した「木組み」の建物で、金物に頼らない建物にすることができたのは、
有意義なことだと思っています。大工さんの技術が光る建物になりました。





なぜ、金物に頼らない木組みの建物にする方が良いのでしょう?
仕口や継手という、木を刻んで木と木を組み上げていきます。
地震などの大きな力が建物に掛かった時、木がめり込み
粘り強くこらえ、もちこたえます。
一方、在来工法の金物は、外力に対して強く対抗する考えです。
また、木に釘やビスを使用し、木に傷を与えます。想定以上の力が掛かると、
金物ごと変形したり釘やビスにより木が裂けてしまうかもしれません。
このようなことから、きぐみの家が良いと考えます。
柱や梁の架構をバランス良く計画することも心がけます。

(柱と梁のプロット図)

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これからの課題。今後の研究。
先ほど限界耐力計算による石場建ての建物を断念した。と書きました。
土壁を採用すれば、実際に石場建てで建てることができました。
しかし土壁は、下塗り、中塗り、仕上げ塗り、と時間がかかること。
それだけ費用がかかると考えてしまいました。
僕が考える石場建ての住宅は、多くの方が建てることができるのが
理想なので、土壁に頼らない、貫や架構(柱や梁の配置バランス)などで
成立できたらいいなぁ~。っと思っています。

在来工法は、剛で外力に対抗するイメージですが
伝統構法は、柳のように外力を受け流すイメージです。
長い時間がかかるでしょうが、一歩でも近づきたい!です。