建築活動家 › 2020年07月

2020年07月30日

がんばり過ぎない家 -自然素材と工業製品

「島本の家」では、自然素材を中心に考えながらも
適材適所に工業化製品を採用しています。
工業製品と言っても、防火性、調湿性、消臭、衛生的などを考慮して、
健康を害さない身体に優しい住宅を目指しています。

島本の家では、自然素材が大半を占めています。
天井と床を兼ねた無垢の杉板。九州熊本県八代のイグサ畳。
2階は天井を張らずに、屋根の野地板が直接見える杉板。
壁は、土佐和紙クロスでできています。
真壁なので、柱・梁も室内に見えます。
調湿効果もあるだろうし、木の香りに包まれた感じは、
すごく人に良い影響があるんだろうなぁ~。と、感じています。
外部にも木材が露出している部分も多くあります。
お寺などを想像してみてください。
屋根を深くしたり、木の部材を大きくしたり
工夫されていることに気付きます。
また、傷んだ時に取り替えることを
前提にしているところもあります。

一方、工業製品も選択しています。
外壁や屋根には、耐久性に優れたガルバリウム鋼板を採用しました。
雨がかりの場所はしっかりガードしています。
外部開口は、アルミサッシです。
サッシメーカーで研究・開発された商品は
手作りするよりも安価で高性能だと考えます。
雨漏りを防ぎ、断熱や気密にも優れています。
住宅設備は、キッチン、浴室、洗面、便所。
どれも標準的で安価な既製品を採用しました。
キッチンや洗面室やトイレなど水回りには、
モイスやキッチンパネルなど、防火、調湿、消臭などの
効果が期待できる建材を採用しました。
床暖のところは、反りなどを考慮してフローリングにしています。

長く付き合うものなので、
あんまり頑張りすぎない家です。


grow desigin
グロウデザイン/一級建築士事務所 若井義治
〒530-0043 大阪市北区天満3丁目1-5 南天満ビル306
TEL 06-4792-8631 FAX 06-4792-8632
http://growdesign.jp/
growdesign@juno.ocn.ne.jp  


2020年07月25日

土台はヒノキ

島本の家 土台のはなし。

土台は桧を使います。腐りにくい樹種ですよね。
原田さんの山に植えてあった、杉と同じ山の出身の桧になります。
土台以外にも、1階のウッドデッキとその木塀も同じ京北の桧。



長期優良住宅の住宅基準を見ますと、
防腐防蟻処理が不要な樹種の記載があります。
ヒノキ、ヒバ、ベイヒ、ベイスギ、ケヤキ、クリ、
ベイヒバ、タイワンヒノキ、ウエスタンレッドシダー、
サワラ、ネズコ、イチイ、カヤ、コウヤマキ、センベルセコイヤ。
でした。

虫に強いんですね。

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2020年07月21日

赤身と白身

杉の赤身は丸太の真ん中の方。白身は樹皮に近い外側の方。
赤身は油分が多く、水がかかりやすい所や
屋根や軒や外壁など外部に近い所に使います。
白身は、化粧材として使うことが多いです。



赤と白を混在していることを源平と言います。

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2020年07月20日

棟上げ -建方

島本の家 棟上げの様子を書きます。

金物を使わず、ホゾや込栓を使う 木組みの上棟は、
建築の専門の人にも興味があります。
設計や普段はプレカットで工事をしている仕事仲間が集まり、
上棟の様子を見学させていただきました。
入れ替わりでしたが、たくさんの人が見に来てくれたのは、
この家が持つエネルギーなのかもしれません。
みんなが見ている中で、大工のみなさんは作業をしないと
いけなくなってしまったので、悪いなぁ~ と思っています。







土台を敷くところから上棟まで3日かかりました。
土台が敷かれ、柱が建ち、梁がつながれて、屋根の上り梁まで。
ずっと見ていましたが、まったく飽きませんでした。
組み立てる順番が決まっているらしく、指示する人、
組み立てる人、組み立てる前準備の人など、持ち場が決まっている様子です。
ロボットが作業するように、ドンドン作業が進むわけではないのですが、
着実に進みます。上棟の時には大工さんの人手が多くいるので、
助っ人の人もいるはずですが、静かに自分の持ち場の
作業をされていたのが印象的でした。




一つ一つの材の先端は、継手が刻まれています。
その凹凸の木をカケヤでたたいて組んでいくのですが、
ホゾや込栓なども使って
木をギシギシ固めていく感じです。
家の骨格が見えてくるころには、頑丈さが
肌に伝わっってきます。
一緒に見学していた一人は、棟が上がっていく過程の
建物に近寄りがたい何かを感じる。
と表現したくらいでした。



後日お話しをお聞きすると、事前に打ち合わせすることなく
作業前に少し話をする程度。
(僕は見ていたので時間にすると10分くらいでした)
作業手順の話をして細かいところまで指示しないそうです。
当日のメンバーを見て、自分の作業分担を把握し、
阿吽の呼吸で作業を進めるみたいです。

上棟後には、子供たちにお神酒を廻ってもらい、
簡単な直会(なおらい)をさせていただきました。





上棟にたくさんのお仲間が見に来てくれました。
ありがとうございます。


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2020年07月19日

下小屋見学

大工松本さんの下小屋に来ました。
いま、僕の事務所に住宅の相談に来てくださっているお客さまも一緒です。

手刻み:のこぎり、ノミ、カンナなどを使い、木の継手を加工することです。
     木の表裏や木の癖など、手で扱うので直接木と会話しながら加工するそうです。
     現代の主流はプレカット(工場で機械が木を削って、継手を加工します)。
     木を刻む若い技術者が少なくなる中、松本さんの周りは若い人がたくさんいます。
下小屋:大工さんの加工をする作業場です。
     機械や道具もたくさんありますし、柱や梁の継手を加工するので
     広い場所がいります。加工中は雨がかからないように
     屋根がかかった場所でしています。
     周りには木材も多く、木の含水率を一定にするため
     ある期間、意図的に置いておく必要があるそうです。

下小屋ではたくさんの大工さんが集まって、手刻み作業をしてくださっています。
一見なんでもないようにタンタンと手を動かしている様子は、
その技術を習得するのにたくさんの時間を要しているのだと思えました。
僕がお稽古しているお茶の教室では、上手な人が何事もないように、
お点前をすることが出来ます。その様子にとても似ていると感じました。





別の日に家族を招待してくださり、
バーベキューをしていただいたのは、良い思い出です。
立っていた木を伐採し柱や梁になっている過程を見れるのは、
家を建てる人たちの内、
何人が経験できるのでしょうか?
僕の子供たちの心のどこかに、残っていてほしいなぁ。って、思います。


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2020年07月17日

日本の伝統文化 木組みの技



現代の日本で木造住宅と言えば、「木造在来工法」か「2ⅹ4工法」を指します。
「在来工法」は戦後に普及した工法、「2x4工法」は西洋の工法からきています。
これとは別に、日本の古来からある「木造伝統構法」があります。
僕が、茅葺き民家の活動を通して知り合った松本さんは、
手刻みの仕事ができる大工さんで「伝統構法の技術」を活かして
現代の住宅にも柔軟に対応してくれる大工さんです。
知り合ってから長い年月が過ぎ、一緒に仕事をする第1号の住宅になりました。
当初、石場建て、貫の用いた建物で、限界耐力計算による構造計算を試みましたが断念し、
仕口や継手で構成した「木組み」の建物で、金物に頼らない建物にすることができたのは、
有意義なことだと思っています。大工さんの技術が光る建物になりました。





なぜ、金物に頼らない木組みの建物にする方が良いのでしょう?
仕口や継手という、木を刻んで木と木を組み上げていきます。
地震などの大きな力が建物に掛かった時、木がめり込み
粘り強くこらえ、もちこたえます。
一方、在来工法の金物は、外力に対して強く対抗する考えです。
また、木に釘やビスを使用し、木に傷を与えます。想定以上の力が掛かると、
金物ごと変形したり釘やビスにより木が裂けてしまうかもしれません。
このようなことから、きぐみの家が良いと考えます。
柱や梁の架構をバランス良く計画することも心がけます。

(柱と梁のプロット図)

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これからの課題。今後の研究。
先ほど限界耐力計算による石場建ての建物を断念した。と書きました。
土壁を採用すれば、実際に石場建てで建てることができました。
しかし土壁は、下塗り、中塗り、仕上げ塗り、と時間がかかること。
それだけ費用がかかると考えてしまいました。
僕が考える石場建ての住宅は、多くの方が建てることができるのが
理想なので、土壁に頼らない、貫や架構(柱や梁の配置バランス)などで
成立できたらいいなぁ~。っと思っています。

在来工法は、剛で外力に対抗するイメージですが
伝統構法は、柳のように外力を受け流すイメージです。
長い時間がかかるでしょうが、一歩でも近づきたい!です。  


2020年07月15日

山から木をおろす



山の雪が解けたころ、京北の原田銘木さんに再び訪れました。
今回は、いつもNPOなど色々活動しているお仲間と一緒です。
あたり一面まっ白だった景色は土が見えていて、
まったく違うところに来たみたいです。
そして、立っていた木が全部倒されていました。
木のそばまで行くと、切り株が僕の腰くらいまである木がたくさんありました。



この全部が僕たちの家になるわけではないけれど、
倒れている木の数と大きさと迫力が僕たちに迫ってきました。





切り倒された木にワイヤーを取り付けて、
原田さんが木を下すところを見せてくれました。
操作が難しそう。木を吊ると風や山の地面の起伏など、経験がないと危険な感じです。
長い木をトラックに積んで製材する荷下ろし場まで運ぶそうです。
乗用車でも狭い道をトラックが木を載せて走るのは、想像がつきませんでした。
お話をお聞きすると、木は谷に向かって倒し(葉っぱが下に向くように倒し)、
光合成により木の中の水分を葉っぱから抜いていきます。
葉枯らし乾燥です。
雪が解けた頃から温かくなって木に虫がついてしまうまでの期間に作業するそうです。
余談ですが、杉皮を取るのは、水をよく吸う夏の時期にするそうです。



続いて田中さんの製材所に行きました。原田さんがいつも頼んでいる製材所です。
日曜日にも係わらず、作業風景を見せてくださいました。
こちらの作業場の製材機は10mくらいの長さまで、木を挽くことができるそうです。
1本挽いてくれました。大工松本さんは、切れた面を見ながら、
原田さん、田中さんと話し込んでいます。
やりとりは専門的で理解できないところが多かったですが、
長年たずさわっている人たちだからこそ、
深い意見が重なっていくのを見ることができて、
安心したのを覚えています。



この地域で取れる木としては、良好であること。
丸太を見ながら、構造材、仕上材、下地材、木皮やチップ材になることまで、
無駄なく一本の木を使いきることを教えてくださいました。
原田さんは親子そろって、僕たちの家の仕事にかかわってくださいました。
木を供給する立場の人がエンドユーザーに会えることがなく、
今回の取り組みは貴重な体験になった。
と話され、これからを担う息子さんにとても良い経験ができた。
と大変喜んでくれました。


原田さん作業所


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2020年07月12日

山に行ってきました。



前日に大雪が降り、山へお伺いする約束の日を迎えました。
息子の体調が悪く、おばあちゃんと留守番をしてもらい、
おじいちゃん、僕、僕の奥さん、娘ちゃんの4人で出かけました。

京北の原田銘木店に伺いました。
待っていてくれたのは、原田さん、原田さんのお父さん、息子さん、
大工の松本さんです。
作業場には、栗の木が多く積まれていて、釿(ちょうな)がいくつも並んでいました。
完成した名栗はとてもきれいにできていて、触ることも躊躇(ちゅうちょ)するぐらい。

作業場から出発です。
大工の松本さんに原田さんも乗りジープが先導して雪をかき分け、
僕たち家族は、息子さんの運転する車に乗せてもらい、
山の奥深くに連れて行ってくれました。





木が見える、足場のよい広場で
娘が退屈しないように、原田さんが雪だるまを手早く作ってくれて、
僕たち男性は斜面を登って、一番大きな木の根元で、お神酒でお参りをして、
木を倒すところを見せていただきました。
チェーンソーで木を切り、クサビを打って木が倒れました。
すごい音と振動が体に響きました。
これから、天気の良い日を見ながら、この山一帯の木を伐採するそうです。
そしてまた100年後を見据えて、苗を植えるのだそうです。

僕は、成長して切り時になった木を順番に切っていくのだと
思っていましたので、全部の木を伐ることにちょっと驚きました。
お話を聞くと、なるほどです。

大工さんが年輪を数えてくれました。95才でした。

今思い返すと、木を切るには少し遅い時期だったと思います。
秋から雪が降る前までが、いいんじゃないかなぁ~








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2020年07月09日

木を伐ることから始めた家づくり



家の玄関戸を引くと木の香りが漂います。
島本の家 は、木が主役の家です。
山で木を伐採するところから家づくりが始まりました。
大工の松本さんは、芯去り材にこだわりました。
芯持ち材よりも
・割れが少ない
・反りや捻りが出やすく、クセを出してから製材する
・強度が強い。芯持ちの方が強い。との考えもあるので、一概には言えない。
・お寺など昔の建物は製材機もなく、木を割って使っていたので、芯去り材が主流であった。
なのだそうです。
家を建てるために立っている木を買い求めることを
「山買い」と言うらしく、大工松本さんも長い経験の中でも初めてのことで、
気持ちの入った家づくりになりました。
僕には見えないところで、いろんな方に相談してくれていたと思いますが、
ご縁があり、京北で名栗で有名な原田さんが
山守りしている杉の木が、
我が家の骨組みになり、床になり天井になっています。





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2020年07月04日

足元のおしゃれ 柱勝ちのはなし

土台と柱のお話です。

基礎やコンクリートの概念がない昔には
柱を土の深くに埋めていました。掘っ立て柱といいます。
その後、石場建ての建物が出てきます。
石場建てとは、基礎がなく石(礎石)の上に柱を立てているもので
寺社や茶室、古民家などがこの構法で建てられてきました。





略図1を見てください。
現代の木造在来工法は、土台の上に基礎をのせています。
土台を敷く段階で、水平をきちっと出すので
その上に建つ、柱や梁の垂直・水平を容易に出すことができます。

略図2を見てください。
島本の家 の四隅の柱は 柱勝ちにしています。
四隅の柱を露出していることからこの考えは始まります。
また大工の松本さんが、このやり方を今まで多く経験されている
実績も大きかったと思います。
柱を露出することで、外壁の収まりがすっきりしましたし
デザイン性も力強くどっしりした、建物になりました。



露出した柱の足元に注目です。
基礎の上に通気用のネコを置き土台を敷きます。
そして、外壁のための水切りを留めるのですが
水切りの厚みに合わせて、黒の御影石を柱の下に敷きました。
カッコイイですよね。
写真は、水切りに白い養生シールが貼っている施工時のものですが
外壁と同じ黒い金属なので、すごくきれいになりました。

ちょっとした、気配りの積み重ねで、とても締まりのある
きれいなデザインになりました。

柱勝ちの施工風景を写真に撮りました。
柱と土台の接手部分の加工も必見!






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2020年07月01日

DIY ?! ってほどでもないのですが・・・

大工さんにお願いして
余った木を少し残しておいてもらいました。

娘とDIY⁈ ってほどじゃないんですけど・・・
のこぎりを持ち出して
木を切ったり、貼ったり。
インパクトも使えるんです。

台を作りました。




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Posted by growdesign at 23:58Comments(0)家族のこと島本の家